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じぶんちの中に、行ったことのない場所があってね。
と言ったら「カッパドキアの地下都市にでも住んでるのか?」と言われそうですが。 わたしそうだったのよね。 今までずっと、南房総のじぶんちの敷地が一体どこからどこまでなのかちゃんとぜんぶ確認したことがなくてね。特に山林部分が謎で、「敷地ってどこからどこまでなの?」と聞かれると、西の方の山を指さして「あの尾根のへんまでだって」と説明していました。 そうすると大抵の人は、「へえー!やっぱり8700坪って広いねー!」と言ってくれて、そうなのよ~広いから分かんないのよね~と言いながら改めて納得して、そのまま放置していました。 山道もない、手入れされてない、もさもさした山。 それが、うちの敷地の大半を占めています。 入りにくいったりゃ、ありゃしない。 使いようだってわからん。 だから、別に山の中身を知らなくても困ることもなく、どってことありませんでした。 ですが最近、にわかにムクムクと、山に興味をもち始めたんです。 それもこれまでみたいに「森林にヒトの手を入れ、里山を保全せねば」と抽象的に思うことではなく、森を探検しようよ、軍手はめて鋸持っていくんだよ、イノシシのう○ちを踏まないように、ってなかんじでこどもたちと遊びに行きたい衝動のほうです。 きっかけはいくつかあって、ひとつは、年末の薪づくり。 おっかなくてあんまり使ったことのなかったチェーンソーを納屋から出して木を伐り、それを割る、という作業をする中で、「木」が「材」になる感覚を体が覚えてしまい、やみつきになっちゃった。 ![]() ああ、できるんだなあ自分でも、と。 口で「間伐して」とか言っても結局自分ではできないから、誰か技術のあるヒトにやってもらわないといけないんだよなーと潜在的に思っていて、それが「森林に手を入れ」の部分の敷居を高くしていたのですが、やろうと思えばできるじゃん。と思えちゃったんだな。 それから、ポチンがのこぎり好きになったこと。 ![]() 年明けも飽きずにのこぎりガールで、ついにこれはポチンの「マイのこ」になりました。 竹も小枝も自在に切り倒し、蔓も切って結んで命綱をつくったり(頼るとブチ切れる命綱ですが)と遊びにぐっと幅がでたようです。 鋸持って山に行くと、「自分で道を切り開いて進む」感があってすっごく楽しい! という感覚は小学1年もオトナも同じなワケで、ママも鋸を存分に使いたいので、買い増してしまいました。。おニューの鋸はもっと刃渡りが長いのだ。わはは。 さいごに、こんな素敵なツリーハウスにお邪魔したこと! ![]() 横浜の三ツ沢という住宅地にこんなものをつくっていると聞き、現場を訪れました。 なんじゃもんじゃハウスというシェアハウスのお庭にある巨木の上に、カフェをつくってるんだって! 鳥が巣をつくるように、ちょっとずつしこしこと自分たちでツリーハウスをつくっている様子は、なんかこう、がきんちょの創作欲がむき出しになっているみたいで、ホントにワクワクする風景でした。昔、教科書に載っていた「おおきな木」のことを思い出し、トムソーヤーを思い出し、こえだちゃんと木のおうち、というおもちゃを思い出し、わたしもこんな基地が欲しいと心の底から思ったことも、思い出しました。 いいなあ!! こんなのつくりたいなあ!! うち、木だったらそっこらへんにいーーーーっぱいあるからなあ!! と、思っちゃったんだよね。 そんなわけで、ホントにうちの山にツリーハウスのつくれる木がないか、入ってみようと思った次第。 いつもはポチンも連れていくのですが、以前うちの山に分け入って遭難しかけた男衆が「ぜえええったいムリ」と言うので、マメ・ポチンはお留守番。 ごーごー涙を流してついてきたがってましたが。 さて、何しろ道がないのでどこから入ろうかと悩みましたが、家の裏にイノシシがつくりやがった獣道がありまして、それを頼りに進むことに。 イノシシってば、本当に毎日我が家に来てるんだな。 だって踏み固められた道は草だって生えてなくて、歩きやすくて立派な道路なのだ。 ただ、イノシシサイズが都合よいだけの道なので、人間はくぐらねばならない倒木があったり避けなければ痛い野バラがあったりと何かと不都合。その規格のちがう感じが妙にオカシイ。 そして、「ここはうちですから」的なイノシシの主張を感じるう○ちもある。 ![]() 「ニイニ、このあたりで立ちショ○して可!!マーキングしなくちゃ領土を奪われる」と命令しておきました。 そのうちぐっと暗くなりました。 ![]() 人間がのぼるには急すぎる勾配になってきます。下草はなくなり、木の根がむき出しになり、山肌が見えてきます。 足の裏に吸盤があるタコ男のニイニはすたすた。 ![]() 立てないわたしは、え~~ムリ~~~とヘコヘコへばりついてのぼる。 ![]() 「ママおっせーよ!こっちに行くと尾根筋にぶつかるから近道だよ!」とか言われてもムリ。 ママは自分が登りやすいほうから行くからいいの!!と怒りながら、どんどんはずれていく。。。 ![]() しかも、尾根にのぼったと思ったらそこは馬の背のように細くて、さらに奥にいくには、谷、山、谷、山、と蛇腹のように連なる地形を進まねばならないのです。 遠くから見ていると、しゅるっとひとつづきの山に見えるけど、こーんなに細かく屏風みたいに谷が削れた山だなんて知らなかった! ぜーぜー、ヒーヒーしちゃって、こわくって、みっともないとかどーでもよくて、「もうやだー帰りたいよー」とめそめそ言いながら這いつくばってのぼるわたし。 何かを途中でやめたいと思ったのは、分娩以来だと思う。あのときも看護婦さんに「もういいです生むのやめます」と言ったっけな。 「ここだよ!たぶんここが一番高い」と、先についたニイニの言葉にひっぱられて、ようやくたどりついたのが、なんと見晴らしのいい頂上!! ![]() ・・・って、なんだここ? なーんも見えねー 展望台って、ヒトがつくったんだなあ、とここで初めて知りました。 ヒトが木を伐り払い、おべんとうを食べる平らみをつくり、達成感と開放感を演出したもの。 それをしなけりゃ、てっぺんもただの、もっさもさです。 木の間からわずかに見える人里らしきものに思いを馳せようと思っても、よく見えない。 ![]() ふん。 そんなもんか。 と思ってぶらぶら歩きながら、なんかツリーハウスってかんじじゃないなーと眺めていると、不自然に連なるヒノキが目に止まりました。 ![]() ・・・おお!!! これぞ、我が家の敷地の、境界線です。 むかしむかーし、ここを買った頃、隣の家のおばあさんに「うちとそっちの敷地の境んとこにヒノキがずらーっと立ってっから」と聞いたような記憶が蘇ります。 いやまさに。 ![]() ここまでがうちかあ!! こりゃ、けっこう感動だなああ!!! ・・・でもな? この境界の、どっち側がうちだ? 景色が見えないから方向感覚ないぞ? っていうかどっちに帰ればいいんだ??? 今、どっから来たんだ???????? ![]() ・・・山は恐ろしいです。 これで、夫とニイニは以前、遭難したんだな。 尾根伝いにどんどん進み、「こっちだ!」と降りていったら深い谷あいに出てしまったと聞きました。水をたどって歩いていったら平久里川があり、じゃぼじゃぼ越えて渡って、なんとか道に出たら、そこは遠く離れた隣りの集落だったという話。 幸い今回はケータイについていた方位磁石を見て「えええ、、西だから、、、こっちが竹のほう?」と分かり、いつもタケノコ堀りをしている竹藪に出ることができました。 いやっほう!これで家に帰れる! ![]() ・・・ふ~~~ うちの山、登っちゃったぜい!! 大変だったけど。 そして、ツリーハウスがつくれるような作業環境が確保できる平らみが、ほとんどなかったけど。 でも、間違いなく、山に入るのは楽しいです。 イノシシと同じように山を徘徊し、道を探し、木につかまって休み、深呼吸すると、わたしってばなんでこの、人里とまったく違うダイナミックな環境に、入っていこうとしなかったんだろう??と、今までの自分が不思議に思えました。 ひょっとしたら、畑を始めたときの感激より、大きかったかもしれない。 東京にいる今も、あの空気を思い出します。 まったく人間の匂いのない、あの空気。 恐ろしさもあるけど、わたしはあの空気になじみたいし、憧れます。 やっと木になじんできたから、こんどは山になじみたい。 そして、明日もまた、のぼりたいと思います。 こんどはヘンデルとグレーテルみたいに、道中パンでもまいておこうかいな。
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ひょんなことから、南房総に8700坪の土地を手に入れてしまいました。平日は都心で建築ライター・コーディネーターとして働き、週末は南房総で野良仕事。ちょっとムリして始めてみた二重生活ですが、気付けば主客転倒で、どっちがメインの住まいかわからなくなっています。田舎暮らしの衝撃と感動、苦悩と快感をそのまま綴ります。
ニイニ5年生、ポチン7歳、マメ2歳。
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