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農業をデザインするっていう動き。
東京の家の近所のオサレな雑貨屋さん1階が、週末ごったがえしていました。
テレビの取材かなんかも来ちゃっててたーいへんな混雑。
なんかのセール?フリマ?

と思ったら、こんな服を着たヒトたちがうろうろ。
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倅マーク。誰の倅だって?
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「農家のセガレの店」。
なになに?
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みんな、いろいろ考えるよねえ。
農家をやっている親がつくった野菜を、農家を継がなかった倅が都会で売る、というユニットらしいです。

へ~と思いながら売り場のラインナップをチェック!
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キャベツ1玉300円、にんじん1本100円、ねぎ1束200円。
ちょっと高級なスーパーくらいの価格設定でした。きっと地元の売値よりぜんぜん高いだろうけど、場所柄こういう値段でもちゃんと売れているようです。

親をちょっとでも助けたいとする彼らの活動を、メディアも注目しているみたい。
売り場のデザインを見ると素朴感の演出などが上手で、都会に住むヒトの感性に訴えかけるコツをよく知っている、ブランディング能力のある方達だなと思いました。

こうやって農業がフィーチャーされるようになってきたのって、ここ最近ですよね。
雑誌「ブルータス」で農業の特集を出したり(倅の店も載ってました)、芸能人が農園をやったり。農業をファッションにしようというかんじでしょうか?
なんだかこういうの、ちょっと胡散臭いなと思わないでもないです。わたしが中途半端に田舎暮らしをかじってしまっているからだと思うけど、ホントに農業を営む方々の「スタイリッシュでない」魅力ははじいてしまって、表面をラッピングした「農」だけを受け入れるというメディアの姿勢にも疑問を持ちます。

でも一方では、農業なんてダサくて稼げなくて辛いからエンガチョと無視されていた時代よりはずっとましかな、と思ったりする。
「ファーマースタイル」がカッコイイなんてことになって、オサレな長靴や麦わら帽子を買ったりするところからでも、まあいい、農業とは無縁だった人たちがちょっとでも土に触れる時間を持つようになればいいや、と。

だって、野良仕事の気持ちよさって、言葉じゃぜっっっったいに伝わらないんだもの。
わたしだって、こういう生活に引きずり込まれたからこそ、じわじわと、土の匂い中毒になっていったわけで、そうじゃなかったら今頃きっと、建築のことしか考えてなかったでしょう。
(わたしの人生をぶんぶん振り回してくれた自己中な夫に、パーシャルに感謝。)


「農家の倅の店」をやっている彼らはまさに農家に育ち、コアな部分を知りすぎたために「農業エンガチョ」になったヒトたちなのだと思われます。農家を飛び出し、東京での生活を満喫する中で、農家出身であることをアイデンティティとして打ち出して商売に結びつけるという発想は、この時代にぴったりフィット。
でもね、わたしにはなんだか物足りない。
セルフプロデュースが上手いなとは思うんだけど、農家からの直売のよさの、いちばん胸を打たれるところ(作り手の汗水を感じるところ)がごっそり抜け落ちてしまっているようなかんじ。むしろ、そこを隠蔽するかのように小ぎれいなイメージにすり替えて売っているように見受けられるところが「ピンとくるようでこない」原因かもしれません。
でもきっと彼らは、そうやってスタイルをつくらないと都会では受け入れられないと思っているのでしょう。で、実際、大多数の消費者にはその方がウケるのかもね。

わたしは逆に、ゴボゴボの手のおじいさんがゴボゴボに形の悪い野菜を新聞紙に包んで売っている姿の方が、カッコイイと思うんだけどね。
そうそう昔、朝早い山手線にカゴ担いで乗っていた行商のおばさんとかよく見かけたけど(今もいるのかな?)そのヒトたちがこの雑貨屋の前で野菜売ってるほうが、よっぽどありがたく思えて買いたくなるだろうと思います。

都会の中心で「農業をデザイン」して売っている彼らを店頭でじーっと見ていたら(ちょっとイヂワルな視線で)、ああホントに都会の空気が好きで、都会にいることが幸せなんだろうな、と思わせる雰囲気がムンムン漂っていて、なんだか売っているネギやにんじんにロゴマークでもプリントしかねない勢いを感じてしまった。
人間ってないものねだりね。田舎のヒトは都会をうらやみ、都会のヒトは田舎に憧れる。

でも売り場には、こんな文言が貼られていました。
農業をデザインするっていう動き。_b0128954_1234773.jpg

「嫁ぐなら農家」なーんて言っているということは、彼らもやがては田舎に戻って農家を継ぐことを想定(覚悟)しているということかな?
あとで調べると、彼らの多くはWEB制作などを生業としているようです。何気に農家やりながらでもできる仕事を選んでいるのかな?

彼らの頭の中をぐるぐるしていることが感じられて、結局ちょっと好感持っちゃいました・・・
by babamiori | 2009-02-17 12:07 | 東京にて
<< ブサイク野菜を買いたくなる空間って。 外注だと1枚2500円くらいらしい。 >>



ひょんなことから、南房総に8700坪の土地を手に入れてしまいました。平日は都心で建築ライター・コーディネーターとして働き、週末は南房総で野良仕事。ちょっとムリして始めてみた二重生活ですが、気付けば主客転倒で、どっちがメインの住まいかわからなくなっています。田舎暮らしの衝撃と感動、苦悩と快感をそのまま綴ります。 ニイニ中3、ポチン5年、マメ1年。

by babamiori
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