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「洗足カフェ」オープンしました。
いくらでもあっさり紹介できるし、いくらでも深く説明できるので、どこからどうやってお話すればいいかと考えあぐねているうちに、時間がたってしまいました。
おバカなわたし。

すでにホームページなどではご紹介しているのでご存じの方もいらっしゃると思いますが、NPO南房総リパブリックの「食の二地域交流」事業として、東急目黒線の洗足駅からほど近いところに、カフェをつくったんです。

・・・カフェ!!

わたし、カフェ大好き。
もっとこどもが少なかったりいなかったりした頃は、カフェでゆっくりするのが至福の時間でした。
勉強したり、仕事したり、本を読んだり、手紙を書いたり、デート前に勇んで早く家を出すぎてドキドキしながら時間を潰したり。
・・・いわゆる長居な客。
よく行ったのは、神保町のさぼうる、古瀬戸珈琲店、目白のカフェhagi、かつて二子玉川にあったドックウッドプラザのドトール、自由が丘のスタバ、茶乃子・・・たいしていろいろ行ってないな。けっこう、ここと決めたら何度も行って冒険しないんだよな。

そしてたいていの人がそうであるように、カフェ好きだからといってこれまで一度も「自分で開こう」と思ったことは、ありませんでした。
たまに「あ~あ。提出に追われる仕事じゃなくてカフェ経営みたいに自分の城を持って自分のペースでできる仕事がしたいものだなあ~」などと軽率な考えをぼやくことはあっても、じゃあやってみろ!と言われたら「すみませんできません」と瞬時に謝っちゃうくらい。お店を開くなんて難しそうなこと、どこからどうすればいいのかひとつもイメージできませんでした。


・・・カフェを出そう、という話は、NPO発足当初からもやもやと持ち上がっていました。

洗足に事務所を持つメンバーが「洗足って高級住宅街だけど、お年寄りや親子連れが多いのに、一息つく場所がまったくないんだよね。タバコの煙がもうもうと立ちこめるチェーン店のカフェしかなくて、そこでおばあさんがコーヒーをすすっているのを見ると、どうにかしたいと思うんだ」とぼやいたのをきっかけに、大学の研究室でコミュニティカフェの研究をしていて前職でコーポラティブハウスづくりに関わっていたメンバーが「みんなでつくり、みんなで集うカフェ、洗足につくりましょうよ!」と乗り気になり、ホントにできるかどうかは別として面白そうだなと思ったわたしは「じゃ、こどもたちやお年寄りが毎日食べてもいいと思えるデリを出そう。野菜は南房総のクオリティの高い野菜を仕入れて使って。里山イベントも、カフェでできるし!」と意見を重ねました。

以後、NPOの運営ミーティングで、「洗足にカフェ出そうと思う」という話をちらりほらりとするも、しごく常識的なセンスを持つメンバーからはダメだしの嵐。
そりゃそうです。
わたしたちの誰ひとりとしてカフェを運営したことがなく、資金をボンと出せるお金持ちもいない。そして「コミュニティカフェ」というものの正体が誰にもはっきりつかめない。

それでも、「洗足に、おいしくて居心地がよくて誰でも気兼ねせず入れるカフェを、みんなでつくりたい」という思いは、言い出しっぺたちから消えませんでした。
たぶん中ではわたしが一番懐疑的だったと思う。震災後、いくつものカフェやレストランが経営不振で店をたたむ状況を目の当たりにしていた真っ直中だったし、そもそもお金も場所もノウハウもまったくないわたしたちが、どうやれば始められるか見当もつかない。途方に暮れるような道のりを考えると、現実的ではないのかなあと弱気になることもしばしば。「ここはひとつ、オトナになって冷静に考え直した方が」と言いかけては、1番目の言い出しっぺと、2番目の言い出しっぺの気迫に押され、ううむやれるところまでがんばってみるか・・・と考え直したり。


奇跡は、いくつも訪れました。
奇跡的な縁、というべきか。

わたしたちの思いを真っ直ぐに受け止めてくださって、実にありがたい家賃で空間を提供してくださるという建物のオーナーさんに巡り会ったことが、第一のご縁でした。「本当に、洗足にそんなカフェがあったらいいですよね。地域のために、一肌脱ぎましょう」と、どこの馬の骨か分からないわたしたちを信用して、契約してくださったのです。
こんな風に後押ししてくださる方がいるなら、絶対に実現させなければ、と感動に涙しながら心を強くした瞬間でした。

第二に、素敵なカフェを運営していたメンバーの知り合いから、カフェで使用する膨大な量の雑貨を破格で譲っていただけたということがありました。何もかも曖昧な内容の企画書にうなずきながら目を通していただき、飲食業の大変さを具体的に教えていただきつつ、「できるだけ応援しますよ」と惜しみなく人脈や知恵を実用雑貨など分けてくださいました。

第三に、メンバーのひとりの友人で、大阪に「コモンカフェ」という日替わりオーナーの店をひらいている方に、ご相談できたことが大きかった。不安満載のわたしたちの話をしっかりと受け止めてくれて「大丈夫、この計画なら、いけますよ」という力強い言葉をいただきました。藁をも縋る思いだったわたしたちにとって、この言葉の力は絶大でした。
「いける、って言ってもらえたよね」と帰りの新幹線の中で言い合い、数々の具体的なアドバイスの言葉をお守りのように抱きしめました。

・・・そして何と言っても、ホントにカフェひらくよと決まってからのNPOメンバーの協力体制、機動力こそ、想像を上回るものでした。
家具も、床も、設備も、ほとんどセルフビルド。
自分たちでやりきれない部分は身内も友達も引きいれての人海戦術。

壁塗りは、ペイントの講師をしている友人を引きいれてのワークショップに。
「洗足カフェ」オープンしました。_b0128954_17541669.jpg


そして、傷ついた壁の補修のお金がないので、穴のあいたところにハチの切り抜きを貼るという地域の子供向けワークショップを展開。
ゴールドのハチに、じぶんの名前をシルバーのペンで書いてもらいました。
「洗足カフェ」オープンしました。_b0128954_1755394.jpg

「洗足カフェ」オープンしました。_b0128954_17543877.jpg

ハチをぺたぺた貼るっていう作業が、こどもたちにはすんごく楽しかったらしい。
みんな、ありがとう。
「洗足カフェ」オープンしました。_b0128954_17561083.jpg


そして、オープンぎりぎりにできあがった空間。
無垢の床が気持ちの良い2階です。
「洗足カフェ」オープンしました。_b0128954_1757114.jpg


外から見ると、こんなかんじ。
「洗足カフェ」オープンしました。_b0128954_1861554.jpg


他にもお伝えしきれないくらいたくさんの方々を巻き込めるだけ巻き込んで、もうホントにありがとう、ホントにすみません、ホントに助かりますの嵐・・・ぜんぜんスマートではないプロセスでした。
でも、わたしは今、「みんなでつくるカフェ」なんてキレイゴトみたいな話、実現するかしらと疑っていたことを反省しています。
多くの人達の熱意と根気と体力が集結したことで、こうして始動するところまで漕ぎ着けたのですから。
このナゾのパワーは、自分のためだけには、出ないと思う。


肝心のこのカフェの概要については、わたしのくだくだした話ではなく、このカフェの経営責任者であるメンバーが書いたHPの言葉を引用したいと思います。

・・・・・・・・・・・・・・・・
洗足カフェは、南房総と都内との二地域交流の拠点として、私たちがたくさんの方のご協力を得ながら進めているコミュニティカフェ運営活動です。南房総のことをもっと都内の方々に知ってもらうきっかけとして、また、洗足という都内のある地域の中でのコミュニティの充実の場として、多くの方に利用していただければと思っています。

洗足カフェは、日替わりオーナーによるコミュニティカフェです。「洗足に地域の人に気軽に利用して頂くカフェを作りたい」という共通の想いで、様々な特技を持った日替わりオーナーが集まりました。曜日ごとに違うお料理やお菓子をお楽しみいただけます。また、里山学校の募集や報告会をはじめとする各種イベントや、料理やお花などの教室なども開催する予定です。

このカフェは、「地域に根差したみんなでつくるみんなのカフェ」を目指して非常に多くの人に支えられています。 飲食業界による運営ではなく、想いを同じくする仲間たちが手作りで立ちあげました。

建物の賃貸において、協力していただいた建物オーナー様をはじめ、図面引きから現場監理、セルフビルドまでこなし、テーブルも手作りしてくれた建築家たち、インテリアのデザインを皆で考えペンキ塗りをしたメンバー、ワークショップで壁に名前入りのハチを飛ばして素敵なデザインをしてくれた地域の子供たち、安心できるお米や野菜を精魂こめてつくる人、それを週3日南房総から運ぶ人、週1日ずつお店に入り自分の得意な料理でもてなす日替わりオーナーの方々。多くの人の想いが集結し、その人たちの得意なことが合わさったものが洗足カフェの今のカタチです。

そして、これからも皆さまのご協力を得ながら、もっともっと地域の方に愛されるカフェへ発展する事を目指します。皆様もぜひこの活動を支えてください。どうぞよろしくお願いいたします。
・・・・・・・・・・・・・・・・

2011年10月23日(日)、「洗足カフェ」はオープンしました。

わたしたちのNPOの洗足カフェチームは、月曜日と火曜日がオーナーです。南房総の野菜をふんだんに使ったランチを提供しています。(ほんまる農園さん他のつくる無農薬減農薬の野菜です。店頭販売もしています。)
他の曜日のオーナーさんたちも、それぞれが実においしいランチやスイーツ、コーヒーを提供していますので、1週間通っていただいても飽きません^^たぶん^^

「ああ、ゆっくりできるお店ができてよかったわ」とおにぎりをほおばるお年寄り。外食が多いから身体にいいものを食べたいと来てくださるスーツ姿の男性。まだまだレストランに連れていくのは憚られる0,1歳のお子さんを連れた方がゆっくりケーキを食べる姿。嬉しくてなりません。
コミュニティカフェという言葉の定義はいまだよく分かりませんが、できるだけバリアフリーな雰囲気のカフェにしたいという強い思いが伝わったのかもしれないと実感する時、ひょっとしたらここってそうなのかな、と思えたりします。


わたしは当面、火曜日の午後にお店に立ちます。
お近くにお寄り際は、ぜひお越しを。


日々の様子については、こちらをご覧下さいね。
by babamiori | 2011-10-28 18:07 | 東京にて
<< ポチンのみる風景。 何で生きているのか、分からない... >>



ひょんなことから、南房総に8700坪の土地を手に入れてしまいました。平日は都心で建築ライター・コーディネーターとして働き、週末は南房総で野良仕事。ちょっとムリして始めてみた二重生活ですが、気付けば主客転倒で、どっちがメインの住まいかわからなくなっています。田舎暮らしの衝撃と感動、苦悩と快感をそのまま綴ります。 ニイニ中3、ポチン5年、マメ1年。

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