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暗い話でごめんなさい、「恐ろしい風景編」。
アメリカ大陸の雄大さを全身で感じてきた旅が終わってはや2週間ほどたち、すっかり日本の日常生活に戻りました。
やっとやっと時差ボケも完全にとれ、マメの夜泣きもなくなり、強烈な日光と強烈な野菜不足でがさついていた肌も立ち直ってきたところ。
そんな今になっても折に触れて思い出すのは、前回アップした絵はがきみたいに美しい景色よりもむしろ、エグみのある情景だったりします。



恐ろしい風景①「グランドキャニオンのノースリムからは、簡単に身を投げ出せる・・・」

グランドキャニオンにも行ったよ、と言えば、それだけはみんなに「へえ!」とすぐ納得してもらえます。
超メジャー観光ポイントだけど、ひねくれ者のわたしたちは、ラスベガスからアクセスしやすい有名なサウスリム(コロラド川を隔てたの南側)ではなく、北側のノースリムに行きました。
サウスリムには7年前に行っているので、こちらも似たようなものかなと思ったら大間違い。

ノースリムこそ、まさに「オウンリスク」。
だって、遊歩道のまわっている岩場は、どこからだって投身できるまったく囲われていない空間なんだから。

いや、手すりのあるところだって、ありますよ。
でも、こんなもん。
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マメを歩かせたら、そのまま手すりをくぐって、下まで「ヒュゥゥーーー・・・・・・・・・」
さようならです。
右側を見ればわかるけど、下って言うのは2000m以上、下ですから。
雄大な景色を堪能しようにも、落ちる恐怖が全身を襲ってまともな神経でいられません。
わたしはハッキリ言って、ずっとお尻がぞくぞく腰ががくがく・・・
高所恐怖症の主人は、情けないことに腰が抜ける・・・
でも、そのビビットな感覚は、サウスリムではぜんぜん味わえないもの。
本当に間近でその奈落を見られるスゴさは、多分ここが世界一だと思います。(他を知らないけど。)
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こどもたちは恐怖心というものがまったくなく、岩のはじっこに立って下をながめる・・・
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「や、や、や、や、や、やめなさい~~~!!」
「おい!ニイニ!早く下りないと怒るぞ!下りろ!!下りてくれ!!頼む!!」
夫とわたしは情けないキーキー声で子どもを制止するので精一杯でした。

でも、他の外人さんたちは、ぜんぜん平気で岩のはじっこに立ってた。

いちばん壮絶な絶壁は、「エンジェル・ウィンドウ」というポイント。
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対岸で夫が撮影。
寄ると、こどもたちとわたしがおります。
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景色の素晴らしさは天国だけど・・・転落を想像した途端に地獄の恐怖を味わうことに。
それにしても、こーんなに高いところにこんなにラフな手すり、日本でありえます?
それはもう、危機管理の考え方がぜんぜん違うんです。
うちの三芳村のデッキに手すりをつけないことなんて、全くたいしたことがないと思います。

でも、毎年2~3人は崖から足を滑らせて、転落死しているらしい・・・ホントの話。



恐ろしい風景②「山火事の爪痕。」

何よりも衝撃を受けたのは、グランドキャニオン周辺の森が、真っ黒に焦げていたこと。
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地球温暖化のせい・・・か?
「WARNING!」という異常乾燥を警告する看板が、いたるところにたっていました。
本当に、ものすごい規模で、地球の森が焼けているのだということを目の当たりにしました。

ヨシュアツリーという砂漠の植物が一面に生えている有名な観光地にも行きました。
途中までは、ヒトが立っているような風情でヨシュアツリーが一面に立っている風景を見ることができましたが、
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標高が高くなると木が焦げはじめ、まるで原爆の焼死体現場のように、痛ましい風景に変わっていきました。
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本当に、黒く、焦げているんです。
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もちろん、近くのサボテンも、黒く焦げて死んでいました。
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また、数年後にここに来ることがあったとしても、その時は、今は緑で覆われている森林部分だってどんどん黒焦げになってしまっていることでしょう。

こんな地球にした犯人は、あなたであり、わたしなんです。間違いなく。
タニンゴトではないんです。



恐ろしい風景③「ラスベガスの、現実。」

旅の最後の2日間は、がんばって(ガマンして)ついてきたポチンへのサービスということで、ラスベガスに泊まりました。
今までご覧いただいた大自然から一転、わたしたちが泊まったのは・・・
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お城。
「お城」という概念をそのまま立ち上げたような、圧倒的な、お城です。
正確に言うと、このお城の脇にたっているホテル。実はお城はだたの門です。
「ここに泊まりたい!」と言ってきかなかったのは、もちろんポチン姫です。

いや~~~、まいった。

でも、ラスベガスの街を歩くときのポチンの喜びようったらありませんでした。
「き~れ~い~~~」
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砂漠ではワイルドなナチュラリストに見えたニイニですが、ラスベガスではただのアジア人のおのぼりさんにしか見えない・・・

ポチンにとってはアメリカ大陸の雄大な景色なんて、三芳村の県道を走っているときとさほど違って見えなかったのかもしれません。でも、ラスベガスのキラキラは、ポチンのハートを完全に虜にしていました。これぞ、エレクトリカルパレードを超える、ポチンのパラダイス~
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コカ・コーラのお店に行きたい!といえば、ハイハイ、と連れて行ってあげて、
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瓶の中のエレベーターにも乗ってあげて、
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M&M'Sのお店にも行ってあげました。サービスしまくり。
ずらずらずらっと並んだとってもキレイな色のチョコレート機からじぶんで袋詰めにするというやつがあり、スゴく楽しそうだったんだけど、
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これが、ちょっと強く長く押すと「じゃらじゃらじゃらじゃら」とたくさん出てしまって、ウッカリそのまま買うとチョコ一袋で3000円とかになっちゃうのだ。
こんなところで散財しているアホな家族であります。
でもまあ、ポチンがすっごく喜んでいたから、いいとするか。

街を見ていると、ラスベガスってわたしたちだけでなくて、歩いているヒトのほとんどが、どうみてもおのぼりさんです。
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眠らぬ夢の街の詳細って、こんなものなのかな。
(まあ、高級ホテルの中でカジノやってる洗練された?ヒトたちは、あんまり街を歩いたりしないでビッグな賭け事の醍醐味を味わっているんだろうけどね~
ちなみに、子連れはカジノはできないので、わたしたちはラスベガスにまで来たにもかかわらずいっこも賭け事をしないで帰りました・・・ああこりゃこりゃ。)

そして、どうしても忘れることのできないのが、歩道脇には、たくさんのホームレスが悄然と座っている光景です。
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享楽の街に染みついた闇のように彼らがいるという事実を、誰も、絶対に、目に入れません。
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24時間キラキラと煌めき続ける街をぼんやり見ながら、この世界にはどこにもパラダイスなんてない、と、強く思いました。



・・・わたしの見た、アメリカの恐ろしい風景は、こんなところです。

さいごが暗くなっちゃいました!!
でも、砂漠の素晴らしさと同じくらい、伝えたかったことだったんです。
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by babamiori | 2009-09-28 17:49 |
そんな旅の、何が楽しいって?・・・「海底ドライブ編」。
まずい、秋が深まってしまう!!

やたらと長いプロローグ(というか文句)を書いたあと、栓が抜けたようにどどーっと疲れが吹き出しておりました。
三芳村での生活も、秋を味わう次なる展開を見せている今、うだうだと旅行の写真の整理をしている場合ではなくなっています!あれもこれも書きたいのに糞詰まり状態。。
ようやく体力も回復してきたので、アメリカ砂漠旅行のご報告のつづきに着手しようかと思います。


前回、お話したとおり、すったもんだでレンタカーを借りた後ですが。
大きなスーツケース3つと子ども3人とタンクの水とゲータレードとビーフジャーキーとぱさぱさのパンを積んで、アリゾナ州フェニックスからネバダ州ラスベガスまでを、走る。
それが、わたしたちの旅のほぼすべてでした。はい。

・・・わざわざ苦労して行って、ただ、車で走るだけ?
それのどこが、面白いんだ?

と、おっしゃるなかれ。

このドライブは、日本で味わおうにも味わえない、ものすごい迫力のあるものなんです。
人間の気配がまったくなく、標高によって分単位で景色の変わる大地を移動する感覚は、海底を遊泳している感覚に近い気がします。

例えばここなんて、まるでナウシカの舞台のよう。
弁慶柱というサボテンが林立する世界です。
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わたしたちの乗った車は、マグリットもビックリの巨大石の間をすり抜けていく。
上にごろんと乗ってる石は、いったい、どこから降ってきたのかしら?
(この石だんご、高さが10m近くあり。)
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そして、この光景も日本ではあまり見られません。
こんなにキッパリした平原と森の境目なんて。
夫と見解が一致したこと:何の手入れもしないでぜんぜん草が生えない土地は素晴らしい。
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ごくごく、たまーに、馬の姿も見えます。放牧されている馬です。
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牛も同様。
放牧って、本当に「大地に放つ」ことだったのね。牛に、飼われている自覚はないようです。
どうしても牛にならなければならないとしたら、わたしは日本じゃなくアメリカで飼われたい。
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グランドキャニオンならずとも、そそり立つクリフが連綿と続いていたりもします。ごくフツウに。
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でもわたしには、赤土の地面に生えるセージブッシュが梅雨時に三芳村の家の板の間にわくカビにしか見えませんでした。まったくもって残念な想像力。
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移動はインターステーツという舗装状態のいい高速道路が基本ですが、ところどころでは、こんな看板の出ている道も走ります。
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「オウンリスク」。
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メンテナンスなんてしてないひどい道だよ、それでも行くなら自己責任でどうぞ。と。
なぜか看板が、銃で撃たれまくっている・・・

(そうそう。看板ついでにもうひとつ。
これ、かっこよくない?
「小さなサボテンを守ってね」の穴あき文字。
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こんなだれーも来ない場所に、こんな凝った看板があることに、ぐっときた。)

赤土埃をあげ、穴ぼこだらけでザリザリの道を何マイルも進むと、本当に、誰もヒトのいない場所に出ます。
そこで車を降り、ランチをしたり、すごい暑さの中めげずに歩き回って風景を堪能したり。
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夫やニイニは、過酷な自然の中で生き抜いている自生地の植物を見たり、山にのぼったりと、思い思いに満喫していました。

「棘が顔にささるよ」という程間近で観察中のニイニ。
(実際に、思い余って掴もうとして手にいっぱい棘が刺さり、その棘を口で抜こうとして唇にも棘が刺さって赤く腫れた。アホすぎて同情する気もおきない。)
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小さなナチュラリストは、いっちょまえに。
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撮っていたのは、誰にも見られないで美しい花を咲かせていた、サボテンでした。
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ナバホのインディアンリザベーションの中に、すごいものがあると聞いて行ってみると、
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こりゃーすごい。
恐竜の、足跡の化石だ!!
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この近辺は、赤土がむき出しで草も生えられないような厳しい環境でしたが、そこにひっそりと息をひそめて生きている植物があることに感動したり。
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岩肌にしがみつくように生える者たちも。
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そんな世界に魅せられてか、ニイニは車を降りると、ひとり大地をさまようのでした。
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「パパ、こんなに楽しい旅は初めてだよ!釣りとどっちが楽しいか分からないよ」
趣味が渋いぜ!小3男子。
きっと夫は、この旅に本当にのめり込んでいるニイニの姿を見るのが、さぞや嬉しかったことでしょう。この感動を分かち合うために、息子を連れてきたかったのでしょう。
ふたりで断崖絶壁に身を乗り出し、長い時間ふたりでずうっと語り合っていました。
(今見ると、クレヨンしんちゃんの作者のことを考えてしまう・・・)
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さて。
そんな時、砂漠にはまだまだ関心の薄い、うちのふたりの女子は何をしているかと言うと、
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おままごと~
「この土はきびだんごがつくりやすい」などとぶつぶつ言いながらそのへんに落ちている木の化石(注:木っ端ではない!化石です。)で土をかき回すポチンに、ひたすら石をつまんで右から左へ移動し続けるマメ。会話にならぬ会話に花を咲かせ、ひたすら男たちの帰りを待っていたのでありました。

暑かったけど、文句も言わずに、がんばって楽しく待ってたよね、ふたりとも。
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写真じゃ分からないけど、本当に暑かった。
でも、汗はまったくかきません。ただ、やたらとのどが渇くし、腕とかをなめるとしょっぱいし、トイレにぜんぜん行きたくならない。乾燥機の中にいるような暑さなんです。日本の夏よりはしのぎやすいかもしれませんが、水分補給を忘れてマメを干乾しにしないように注意が必要。

ポチンは、肌が弱いので塩昆布みたいに粉っぽい肌になってしまっていましたが、元気があれば一生懸命山登りについて行っていました。見かけよりタフガール。
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行った先で何をするかって言うと・・・相変わらずおままごととか、石拾いなんだけどね。

ときどき、マメを置いてママもちょろっと散策に行ってしまうと「なんでこんな辺鄙なところでひとりにするんだよ~」と嘆いていました。大地を掴んで。
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退屈になると、「あんゆーあんゆーあんゆーくっくーーー!」とせがむマメ。
「歩きたい、靴を履かせろ!」と。
まだ自立歩行できないマメの、最高の楽しみは、歩かせてもらうことだからね。
ゴツゴツの地面で特訓しましたよ、ずいぶんと。
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そして、斯く言うわたしは、わたしなりの方法で、この旅を満喫していました。
少なくともわたしにとっては、途方もなく広い広い世界をアリのように這って進むこの車の旅は、「刺激を求めて」とか「リフレッシュ」とかそういう言葉には収まりきらないほど大きな影響力のあるものであることは、確かでした。
自分の生きている世界と完全に違う場所に行くことで、日本での日常生活の感性がすっかり失われて心を総入れ替えさせられるような感覚になる。
日々、建築という人為的につくられた空間と関わっているからか、自然の「造形力」を見せつけられると「すごいやねー感動だねー」じゃ済まされなくて、何だかぺっしゃんこにされたような気がするんです。
人間のたいしたことなさをバシッと見せつけられて、どうしようもない無力感に襲われるような。小さな意味の集積である建築の、無意味さを、否応なく感じさせられるような。

でもそれは決して悪い刺激ではありません。
大地をびりーっと切り裂いたような道を、ひたすらまっすぐに進むと、
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道沿いに突然ごろごろこんなものがあったりする。
と、思わず、「ちょっと止まって」と車を降りて、見呆ける。
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何がどうなったらこんな形に削られるのか・・・
この存在感を超える芸術作品なんて、滅多にない。
いったい、人間の芸術的創作活動って、なんの意味があるのだろう?
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次にどんな景色に遭遇するのかずうっと景色に目が釘付けになるようなこのドライブは、わたしにとっては「気持ちよく疾走する」という域を超え、圧倒的な風景に心をわしづかみにされ心に嵐が吹き荒れるような「超自己啓発的ドライブ」だったわけです。
(とかいいつつ、わしづかみにされた直後に突然意識が遠のいて爆睡したりもしてたけど。ハハハ。疲れには勝てません。)

いずれにしても、半ば引きずられるようにして来た身としては、巻き込まれきってしまったようで口惜しいくらい。
「大変な思いをしてあなたのわがままに付き合ってやっているのよ」と夫に恩を着せたいと思いつつも、自分がこれだけ楽しんでしまっては、ね。


・・・やれやれ。
長い旅の様子を伝えるのって、とても難しいと分かりました。
こんなとりとめもない話で旅の醍醐味が伝わったか分からないけれど・・・
とりあえず前編として、ヒトのいない風景の中を走る「海底ドライブ編」をお送りしました。

後編は「恐ろしい景色編」です。乞うご期待。
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by babamiori | 2009-09-24 23:24 |
旅のプロローグ:踏んだり蹴ったり殴られたり。
砂漠って、どこよ?

と、つっこまれておりますが。

紙粘土でできてるか顔にぶつける用でしょうとしか思えない合成着色料をふんだんに使ったケーキがどこのスーパーでもたくさん売られていて、それを「ママ、そのブルーのケーキがおいしそうじゃない!」と言いながらフツウに購入する国といえば、ご想像どおり「アメリカ」です。
行ったのはアリゾナ州~ユタ州~ネバダ州で、フェニックスからラスベガスまでレンタカーでひたすら走って行くという行程。
ラスベガスに寄るのは、無論ポチンサービスのためです。

なぜアメリカの砂漠に?というと「砂漠を旅するならアメリカがいちばんカンタンだから」。
なるほど、言葉も通じるし(スペイン語やアラビア語やスワヒリ語よりは)、レンタカーでまわっても危なくないし、第一、もう何度も行っているからそれなりに手順が分かっているし。

なぜ砂漠を旅するかって?

それは夫に聞いてください。

「誰もいない早朝の砂漠で車を走らせるあの感覚、もう何年も味わってないよな~」と切なそうに嘆息していたかと思うと、「あー、もうダメかもしれない。これ以上行かないとオレは狂ってしまう!!」と禁断症状を気取ってみたりと、半年以上いろんなパフォーマンスを繰り広げてわたしをじわじわと洗脳し、「次の休みはどこに行く?」という話になったときに「・・・どうせ、砂漠に行きたいんでしょ」とわたしに言わせるように仕向けた夫。
「いやーオレは別に海でもいいんだぜ!ゴールドコーストとかモルディブとかはどお?家族全員が楽しめるのがいちばんだからな!」と一応HISでパンフレットをかき集めたりしてみせるくせに、夜な夜なこっそりアメリカ行きの格安航空券のリサーチをしていた夫。

でまあ、わたしとしてはしんどいが、7年ぶりだし、たまたま休みがとれるのが航空券の安い時期だったりもしたし、砂漠行ってあげてもいいかなーと思ってしまったわけ。
ニイニも大自然の旅は好きだろうしね。
「3人もこども連れて、そんなあてもない旅、大丈夫なの?」と心配してくれる身内や友人に笑顔で手を振って出かけたわけです。

空港の展望台から電話をするニイニ。
「・・・うん、これから乗るよ。だいじょうぶ。巨人戦の結果、途中で電話するから教えてよ」

そんなことで国際電話させるわけないだろうが。
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こんな風に、なんの問題もなく、パスポートも忘れず(以前わたしが全員分のパスポートを紛失したことがありまして。空港でヒーヒー泣きながら探し、もうダメ忘れたと思った瞬間、ポチンのおむつ入れの中から4人分出てきた。搭乗30分前。)予定通りに飛行機に乗ったのですが。

そこから先、我が身の不幸を呪う展開が相次いだのです。
(とてもとてーも長い愚痴になりますが、どうかこらえて読んでください。)

まず、離陸しない。
待てど暮らせど。
さすがにおかしいと機内がざわめいてくると「設備系に異常が見られたため、原因を調査中です」とのこと。そして「エコノミークラスのお手洗いですが、3つのうち2つは使用できなくなっております」とのこと。

トイレの故障で飛べないのか!なんじゃそりゃ!

結局2時間半待たされた挙げ句、トイレは直らず出発してトイレに不自由な旅を強いられ、マメは過去最大級のぐずりで「伊東にいくならハ・ト・や」の宣伝のカツオ状態ののけぞりを見せ、サンフランシスコでの乗り継ぎ時間が2時間だったわたしたちとしては当然乗り継ぎ便に遅れることになり、次の便に乗るとフェニックス着が23時という事態になることが判り、そんな深夜にレンタカーを借りてモーテルを探すという悲惨な運命が待っていることになり・・・

目の下にクマつくって「ついてないなあ」とぼやいていると、夫からひとこと。

「そういえばさあ、ねえ、国際免許証って、とったっけ?」

・・・とってない。
とってないよ。
あなたもわたしも、とってない。圧倒的にとってない。
警察署に行って手続きした記憶はない。

「ってことは・・・レンタカー、借りられないじゃないか」

・・・・・・・・・・・・ほえ?

すべての移動はレンタカー頼みというこの旅行で、レンタカーが、借りられない?

「ってことは・・・フェニックスに着いても、ラスベガスまで行けないじゃないか」
まさか。
「そんな・・・電車とか、バスとかは?」
「んなもの無理だよ。赤ん坊とスーツケース3つ持って、どうするんだ?」
「・・・じゃ、タクシーは」
「ラスベガスまで?運転手も一緒に泊まりながら?そりゃできないことはないかもしれないけど、いくらかかるかね。100万は覚悟だぞ。」

がーーーーーーん。

もう、わたしは、完全に死んだと思いました。
大変な思いをして段取り、準備をし、こどもたちの体調を整え、万端でむかえたはずの旅行が、あじゃぱ?

「レンタカーがなければどうもならん。このまま日本に、帰るしかないと思う。サンフランシスコから、帰ろう」

こういうことってあるんだ・・・
たったひとつ、致命的な忘れ物をしたことで、すべてが台無しになるという。
それにしても、わたしはこんな基本的なことを、今の今までまったく忘れていました。いつもアメリカに行く前はどんなに忙しくても警察署に足を運び、ボール紙でできた「国際免許証」を発行してもらい、後生大事に持っていっていたというのに。7年ぶりとはいえ、その存在は頭をひとかすりもしませんでした。

わたしは今までだいたいのピンチはどうにか切り抜けて生きてきていたので、「最終最後にはどうにかうまくいく」というやみくもな自信があったのだけれども、免許のない人間に車を貸すことなどまずないだろうし、この問題にはどこにも抜け道がないと瞬時に察しました。


学校を早退した時、友達から「ガラガラヘビに気をつけろよ!」「生きて帰ってこいよ!!」と見送られて嬉しそうに出発したニイニや、「ラスベガスでサーカスみるんだ!」と目をキラキラさせていたポチンや、訳も分からずしがみついて同伴してくれているマメに、申し訳なくて、情けなくて、ことばがありません。

その後、機内食などまったく食べる気もせず、ひたすらマメを抱き続けて無為の10時間を機内で過ごし・・・時々夫婦で暗く顔を見合わせて嘆息し・・・

乗り継ぎのサンフランシスコに到着後、世にも暗い声で、日本にいる同居の義母に電話をかけたわたし。

「サンフランシスコに着きましたが、国際免許証を忘れたので、これから帰ろうと思うんです」

すると、電話のむこうから、こんな言葉が返ってきました。
「あら大変。
 でもわたし、6年前にロスでレンタカー借りたわよ。国際免許証なしで」

・・・・・・・・・・・・ほえ?

今までアメリカでレンタカーを借りる際は必ず国際免許証をとっていたわたしたち。もちろん必須でしょうと思っていたら、その後留学経験のある親切な義弟から「ハーツの規約を調べてみたら、日本の免許証はマストだけど、国際免許証はレコメンド(推奨)でしかないみたいですよ」とのメールあり。

「じゃ、日本の免許があれば乗れるってこと?」
「・・・らしいな」

わたしは、どーっと安堵した勢いで体中の血液が陽気に循環しはじめた気がしました。
体が急に軽くなり、抱いていたマメもふっと軽くなり、あとはなんだって出来ると思える活力が漲ってきました。
もう帰るしかないなんて思っていた最悪の事態が後ろに遠ざかっていく喜び・・・
大きな災難が払拭されると、一緒に小さな災難もふきとんでしまいます。

「よっしゃー!!レンタカーさえ借りられれば、なんの文句ないわ!遅れて深夜に到着しようがかまいやしないわよ。予定通りに旅ができるじゃない!?」


やっぱりわたしって土壇場で救われる体質だったわ~となんの根拠もない自信をさらに深めたのでありました。でも、今までわたしたちって、毎回毎回必要のない国際免許証を半日仕事を休んで必死でとりに行っていたということか?
まあいいさ。
勝手に落ち込んで舞い上がっている自分たちのアホさ加減だって許せちゃう。
だってだって、予定通り、車でアメリカの砂漠をキャラバン出来るって分かったんだもん!


・・・その後、順調だったかって?
とんでもない。
この日は、何年かに一度の大不運の日だったらしい。

やっとこさフェニックスの空港に到着し、どろどろに疲れた体に鞭打って「さあてきぱき行動しよう!」と大股歩きでバゲージクレームに行くも、大きなスーツケースがひとつ、出てこない・・・
係のおばさんに聞くと「ああ、その荷物なら、サンフランシスコに留まってしまってると連絡があったわ。こっちにまわしてくれって伝言は残しておくけど、もう夜も遅いしねえ。運がよければ明日に着くだろうけど・・・はっきりしたことは今は何とも言えないわ。まあ、明日連絡してみて」とのこと。。

ヒトの荷物だと思って!!とおばさんにキレても意味がないので、「踏んだり蹴ったりとはこのことだな」と心底ぐったり疲れたままとりあえずハーツレンタカーまでバスで行くことに。
深夜で窓口が少ないため、さんざん待たされた挙げ句「予約しているんだけど」と予約表を見せると「ああ、このナビ付きのトレイルブレザークラスの車は、今ないみたいです。ひとまわり小さいのか、ナビがないのならあるけど、どうですか?」とのこと。
「ナビがついてないと困るし、小さいと荷物が入りきりません!!予約したのに!!」と言っても首をすくめるだけの受付おねえさん。「エニウェイ、今ある車を見て決めてください」と言われ、しぶしぶナビなしのフォードエクスプローラーで手を打つことにしました。ないものはないし、ごねるだけの気力も体力も英語力もなく・・・がっくり。

なんとか車で走り出し、すぐにでも空港近くのモーテルに入ろうと慣れない右車線の道をうろうろ探し、やっと見つけた宿には「空室?もうありません」と首をふられる始末。
「今日はレイバーデー(労働者の日)だからどこもいっぱいかもしれないわ」とすまなそうな目で言い、肩を落として出て行くわたしにむかって「グッドラック」と。

「グッドラック」。
なんと不吉な言葉。
「こんな連休の夜中なんてきっとどこにも空き室なんかないだろうけど、よっぽど運が良ければ見つかるかもしれないし、がんばって」と。

言うまでもなくわたしたちのその日は、史上最悪に不運な日。
不運のパンツを履き、不運のズボンと上着を着て、不運のキャップをかぶり不運のリュックを背負った、不運フル装備の日。
そのわたしたちに、「グッドラック」と?
幸運なんてどこはたいても出てこないさ。
だいたい、アメリカのこどもたちの夏休み最後にある連休でみーんなマイカーで家族旅行をするという期間の初日に我らのレンタカーの旅の初日が重なっていたなんて、不運以外のなにものでもないじゃないか。

あ~~~~~
アメリカの旅行ならカンタンだなんて、誰が言ったんだ?
わたしゃ安易なパックツアーで南の島に行って、気なんかもまず、苦労も心配もせず、のんびりゆったりしたかったんだぞ!!



・・・以上、愚痴おわり。
そんなはじまりの、旅行でした。こんな不毛な過去の愚痴は書かないつもりだったけど、書き始めたらとまらなくなりました。
だって、わたしたちにとって、この往路の大騒ぎは旅行の素晴らしい部分の想い出ぜんぶと同じくらい大きな想い出なんですもの。そして、これを吐き出さずにはあとの想い出が出てこないんですもの。毒抜きに付き合わせてしまってすみませんでした。。

次こそは、旅の報告らしい、楽しくて綺麗な写真がいっぱいの話にしますから!
本編はもっとまともですから。
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by babamiori | 2009-09-17 17:38 |
「おい、今帰ったぞ」
「まあ!おかえりなさいまし・・・ご無事でよかった・・・さぞお疲れでしょう」
「ああ、疲れた。風呂のあとすぐメシだ。バーガーばかりで参った、旨い和食が食いたい」
「あなたの好きな金目のお刺身に、根三つ葉のお浸し、それからイカの塩辛もございますが」

なーんてかんじで出迎えてくれる、よくできた妻が欲しい。

欲しい欲しい!よくできた妻が今いちばんほしい!!

・・・でも、よくできた妻も一緒に出かけた場合は、どうなるんだ?
たとえばさ、うちみたいに。


間違って可燃ゴミの日に出してしまって突き返された不燃ゴミみたいに呪わしいほど小汚く、史上最高にボロい姿で、10日ぶりの我が家に転がりこんだわたしたち。
もちろん、5人分×10日間の洗濯物と一緒に。

  ただいま~~~

今、まだその状態です。
とりあえず生きて帰ってまいりました!
落ち着いたら、あんなこんなをぼちぼち書いてみようかなと思いますが、今はとりあえず
 
  つかれた~~~

体はデカいが脳味噌はジャスト1歳のマメを11時間抱き続けての帰路が、キツかった・・・
でも、心はとても元気です。満タンチャージ状態。
行ってきたのは、こんなところ。ひとまずケータイ写真で失礼!
ついさっきまで乗ってたフォードエクスプローラーが、すでに懐かしい・・・
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風景も日本とぜんぜん違うが、口にするものも日本とずいぶん違う。
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それとこれとは関係ない、とも、いえないなあと思った次第。
なんにせよ、たまに日本を外側から見るってことも、必要ですね。
当たり前と思っている都心の生活も、外側から見てみるとホントはどんなものなのか気づくのと同じでね。
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by babamiori | 2009-09-14 15:14 | 東京にて
優雅じゃない旅に出ます。
週末、ニイニは、平久里川で捕って飼っていた小さなギバチを放流しました。
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それと、夏休みにつかまえたカブトムシ8匹も、つかまえた場所に戻しました。

これからしばらく餌がやれないので、体力のない子は放すというわけ。

三芳村に通い出してから房総以外のところに行くことは滅多にないわたしたち。
家族5人になってからはじめての旅行です。
重たい腰をえっこらさと持ち上げて、砂漠へと向かいます~

たまには南の島で・・・なーんにもしないでのーんびりと・・・ママの休暇っていうのは・・・
という声は、届かず。。

しょうがない。
ますますマッチョになって戻ってくるとしますか!
9月の半ばにはもどります。
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by babamiori | 2009-09-03 21:57 | 東京にて



ひょんなことから、南房総に8700坪の土地を手に入れてしまいました。平日は都心で建築ライター・コーディネーターとして働き、週末は南房総で野良仕事。ちょっとムリして始めてみた二重生活ですが、気付けば主客転倒で、どっちがメインの住まいかわからなくなっています。田舎暮らしの衝撃と感動、苦悩と快感をそのまま綴ります。 ニイニ中3、ポチン5年、マメ1年。

by babamiori
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