人気ブログランキング | 話題のタグを見る
「かわいい嫁さん」に逢いに、ほんまる農園へ。
「ホルスタインの子牛が生まれたので見に来ませんか?」

こんなに魅力的なお誘いがあるでしょうか?
行きますよ、行きますとも!万難を排して伺います!
(…というかそもそもは、こちらがラブコール送って押しかけちゃったんですけどね。)

同じ三芳村に住まわれているというご夫妻が時々、このブログにコメントをしてくださるのですが、その内容がすご~くそそられるもので(動植物のことについて異様に詳しそうなオーラが出ていた)どんな方たちかしらとブログを覗いたところ、彼らは「ほんまる農園」の若き農園主だったことが判明。

どうして彼らが若いって分かったかって?
ブログのプロフィールのところに「今年、かわいい嫁さんと結婚しました」とあるんです。
『かわいい嫁さん』…ああ、昭和の匂いが漂うこの甘美な響き。コロリ悩殺。
ダンナさんからそんな風に言われるような女性は、さぞやキュートな女性に違いない。しかもかわいいっていうんだから若いに違いない。(若さへのコンプレックスからきた思い込み。)
ついでにそんな言葉を書いちゃう男性は、ぜったいぜったい優しくて素朴で魅力的な男性に違いない。(甘い言葉に飢えているのかしらわたし。)
妄想が妄想をよび、学識があって若くてピュアな新婚さんが共に畑で汗水流して働き、たまに畑の端と端から顔をあわせてニッコリほほ笑む姿が勝手に脳裏に構築されていきました。

こりゃー逢わずにはいられない!
というわけで、子牛も惹かれるけど、実は『かわいい嫁さん』見たさに伺った次第です。

ところがどっこい。
逢ってみればこのご夫妻、わたしが思い描いていた方たちとは正反対で腹黒さ満載!
だまされた~

とくればそれはそれで面白かったでしょうが、むしろその逆。
予想通りかむしろ上回っていたぞ。
大学の研究室で論文の相談にのってくれそうなメガネの奥で知性が光るソフトで優しいご主人(今年、甲子園に出場した安房高出身。でも球児ではなかったと思われる)と、クラスメートだったら絶対友達になりたいな、と思うようないつもコロコロ笑っているめっちゃかわいい奥様。三芳にこんなキュートな農園主がいたなんて感動!
おふたりは、ご主人のお父さんと共にほんまる農園を経営。酪農と畑作と米作をやっていて、大学を出たあと実家に就農し、それから有機栽培での作物づくりに取り組んでいるとのことです。

笑顔で迎え入れて下さったお二人はとても初々しくて温かく、うちの遠慮を知らない子供たちがお会いするなり「子牛はどこ?」「何頭いるの?」「さわりたーい!」とがやがや言うのをニコニコ笑って受け止め、応じてくださいました。
「子牛はね、こっちだよ」
「かわいい嫁さん」に逢いに、ほんまる農園へ。_b0128954_1353432.jpg

な、な、なんてかわいいんでしょう!
足のあたりの頼りなさ、たまりません。焦点の定まらないつぶらな瞳があどけなくて、鼻先でこどもたちをくんくんと追います。(うちの子たち、なんかクサかったんでしょ。)
名前は?と聞くと、ご主人は笑って「名前は、つけないですね」

「うちは、大人の牛は6頭います。こういう小さい酪農家は最近みんなつぶれてしまっていて、20頭以上のところがほとんどなんです」
「かわいい嫁さん」に逢いに、ほんまる農園へ。_b0128954_1355891.jpg

水を飲み、へこんだ赤い煉瓦のような塩のかたまりをなめる牛たちを、うちのこどもたちは1mくらい手前からしげしげと見ていました。
「牛たちの年齢はどれくらいですか?」
「7~8歳の牛がほとんどですね。ふつうは4歳になったら市場に出すんだけど、うちはおばあさんが多くって」
そうか、ホルスタインでも乳の出が悪くなると市場に出すという現実があったんだ…
さっき、こんなにかわいい子牛に名前をつけないなんてと意外に思ったわたしは、自分の質問の愚かさに恥ずかしくなりました。かわいくても、ペットで飼ってるわけじゃないもんね。

そんな話をしていたら突然ニイニがご主人に「すみません、このへんルーミスシジミいますよね?」
今日は虫や植物にとっても詳しい方のところにいくのよ、と言っていたのが災いしたよう。「ニイニそんないきなり蝶の名前聞かれても困っちゃうでしょ、いやあ申し訳ない~」とわたしが割って入って謝ると、ご主人はニコニコして「ルーミスシジミはいないなあ。ヤマトシジミだね、このへんは」
…く、詳しい。

おうちにお邪魔すると、お父さんが菜花の出荷準備をしていらっしゃいました。
こどもたち、恐ろしい無遠慮さでのこのこ近づき、お会いして数分もたたないうちに手伝いのような邪魔のようなことをはじめました。(たぶん、邪魔。)
お父さんすみませ~ん。
「かわいい嫁さん」に逢いに、ほんまる農園へ。_b0128954_1361333.jpg

ご夫婦からお話を聞けば、やはりおふたりとも大学が農学系。ご主人はブナ林についてが専門で、奥様は里山について研究していらっしゃるとのこと。
うちの夫も植物大好きで、ニイニもこのへんの植物をやたらと知りたがるんですよ、と言うと、ご主人が奥からこんな本を持ってきてくれました。
「かわいい嫁さん」に逢いに、ほんまる農園へ。_b0128954_1363457.jpg

千葉の自然誌。
千葉の自然の変遷から千葉にいる生物すべてについて書きつくしてある自然誌で、「これがあると便利ですよ」とのこと。べ、べんりっていうからにはずいぶん使われているんでしょうね、このマニアックな本を。(絶版らしい。)
「ああ、うちではこの手の本は、1人1冊ずつ持っていますから」
…恐るべし植物博士夫妻。

その後、お忙しいというのに、畑で菜花摘みまでさせていただきました。
ご主人が土壌改良からはじめ、農薬を使わず有機農法で育てているという菜花。
あんなに虫に食われやすいものをこのように丹精するのに、どれだけご苦労があったかとしみじみ畑を見つめるわたしの横で「いぇーい!」とはしゃいであたりかまわず抜こうとする恐ろしいこどもたち。「あ、ば、ばか、やめなさい!」頭に血がのぼってクラクラするわたし。
かわいい嫁さんは、優しく菜花摘みの指導をしてくれました。
「かわいい嫁さん」に逢いに、ほんまる農園へ。_b0128954_1364951.jpg

さんざん抜かせていただいたあとは、ニイニとポチンはふたりして「うぇーーーい!」と畝を走って行ってしまいました。(画面中央の埃のような白と黒の点が、こどもたち。)
「かわいい嫁さん」に逢いに、ほんまる農園へ。_b0128954_1383259.jpg


《ここで突然ですが、前回の設問の答えです。
うちの畑でつくっているもの。
それは、主に菜花です!
「かわいい嫁さん」に逢いに、ほんまる農園へ。_b0128954_1384511.jpg

主に、というのは、他にもうひとつつくられてしまっているから。
間からひょろひょろと出てきている怪しげなもの、これはなんと、トウモロコシ。以前ここで作っていたので、落ちた種が発芽した模様。でも最近はイノシシが出て荒らすので不適と考え、菜花を植えた次第です。
二毛作というのは聞きますが、同じ畑で同時に二つの作物はつくれまい。だからこの畑では、とうもろこしは雑草です。
ほんまる農園から帰った日の夕方、手入れ不足を反省してこどもたちとせっせと抜きました。
「かわいい嫁さん」に逢いに、ほんまる農園へ。_b0128954_13981.jpg

…おいおいポチンよ、長靴をはきなさいと言ったでしょうが。
「かわいい嫁さん」に逢いに、ほんまる農園へ。_b0128954_13265158.jpg

この靴で東京に帰るのかい?》


若くして実家の農家を継ぐという選択をなさったお二人は、本当に楽しそうに農業を営まれていらっしゃいました。(でも「新婚で、新鮮で、ラブラブでいいですね~」と冷やかすわたしに「新婚っていっても…一日中顔を合わせてると…」と笑っていたかわいい嫁さん。)
しかも、自分がやるからにはと農法にこだわり、安全性や環境に考慮した野菜を作ろうと努力していらっしゃる姿勢に、とても深い感銘を受けました。
(そしてしつこいですけど、嫁さんがかわいい!
ご主人のお父さんに、ホントこんなイイ子が来てくれてよかったですねと言いたい。)

お米は、ネット販売をしているそうです。
よく「顔の見える農家から買うのが一番」と言いますが、わたしはこの方たちの作ったお米なら、自信をもってオススメすることができます。
毎日毎日、たぶん一生のうちで一番たくさん食べるものだもの、ちゃんとしたものがいいよね。
うちみたいにこどもがたくさんいる家は、特に。
「かわいい嫁さん」に逢いに、ほんまる農園へ。_b0128954_1394286.jpg

穀物の味が濃くて、噛むと一層味わい深く、とても美味しいお米でした。
「かわいい嫁さん」に逢いに、ほんまる農園へ。_b0128954_1395570.jpg

ちなみに、マメはもうすぐ5か月。
生まれてはじめて口にするごはん(とろとろ煮)は、このお米でつくりました。
「かわいい嫁さん」に逢いに、ほんまる農園へ。_b0128954_1310449.jpg

マメちゃん、体に優しいおいしいお米の味、わかったかな?
by babamiori | 2008-12-09 13:27 | 田舎暮らしのこと
<< 皮を引くって! これはいったい… >>



ひょんなことから、南房総に8700坪の土地を手に入れてしまいました。平日は都心で建築ライター・コーディネーターとして働き、週末は南房総で野良仕事。ちょっとムリして始めてみた二重生活ですが、気付けば主客転倒で、どっちがメインの住まいかわからなくなっています。田舎暮らしの衝撃と感動、苦悩と快感をそのまま綴ります。 ニイニ中3、ポチン5年、マメ1年。

by babamiori
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
リンク
フォロー中のブログ
古今東西風俗散歩(移転し...
妄想ファミリー、房総に住む!
amane
土橋陽子の design...
カテゴリ
全体
田舎暮らしのこと
週末の出来事
南房総のこと
食べ物のこと
東京にて
生き物について
ニイニ
建築について
お知らせ
産後について


未分類
タグ
以前の記事
2023年 09月
2017年 01月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 10月
2015年 09月
2014年 11月
2014年 09月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 02月
2014年 01月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月
2011年 04月
2011年 03月
2011年 02月
2011年 01月
2010年 12月
2010年 11月
2010年 10月
2010年 09月
2010年 08月
2010年 07月
2010年 06月
2010年 05月
2010年 04月
2010年 03月
2010年 02月
2010年 01月
2009年 12月
2009年 11月
2009年 10月
2009年 09月
2009年 08月
2009年 07月
2009年 06月
2009年 05月
2009年 04月
2009年 03月
2009年 02月
2009年 01月
2008年 12月
2008年 11月
2008年 10月
2008年 09月
2008年 08月
2008年 07月
2008年 06月
2008年 05月
2008年 04月
2008年 03月
検索
最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧