物心ついたときから、辛いものに目がないわたし。
体中の毛穴が開くようなインドカレー、口の中がただれるようなキムチ、地獄の煮え湯のように赤い坦々麺に心が躍り、やみくもに吸い寄せられてしまうのはなぜだろう。 思えばわたしの父も辛いもの好き。彼の影響は多大なものでした。中でも強烈な思い出となっているのが「すんごい辛いカレー、食べに行く?」と誘われてひょいひょいついて行った上野の「デリー」。 父の前にちょんと座った小学生のわたしは「カシミールカレー」という泥のように黒いカレーをドキドキしながら見つめ、「こっれっは、からい!」と嬉しそうに食べ始めた父を見つめ、どんぐらい辛いんだろーと緊張しながら一口食べてみたのでした。 あ、なんだ、さらっとしててスープみたい、おいしいおいしいこれなら余裕じゃんと笑おうと思ったその瞬間。 「かっら…からーいっ!!」 口の中が野焼状態。はじめはチリチリ弱火だったのに、あっという間に燃え広がって口からボーボー火を噴き、そのうち頭全体がファイアーと化し、さらに体中が火だるまに。髪は逆立ち、汗は消火活動のように吹き出し、水を口に入れた瞬間はちょっと鎮火するのですが飲み込むとまた燃え出し、身悶えてもおさまらない。そんなわたしにラッシーを渡し、「これは拷問だね」といいながらもフツウに嬉しそうに食べ続ける父を「ばけものだ…」と思ったのでした。 生まれて初めて毛穴が開いて髪が抜けるのではないかと思うほど辛い、もしくは熱い、あるいは痛いカレーというものを体験し、辛いものなんてこりごり!となるどころかかえってその奥深い世界に魅せられ、舌は鍛えられ、ちっとやそっとの刺激じゃ満足できないハードなMとなってしまったわたし。 「激辛」という文字を見るたびに「おうおう~ほんとにあたいをキッチリ満足させてくれんだろうねえ!」とすごみ、食した後は大抵「へっ、この程度で激辛とは笑わせてくれるよ」となる。 そんなわたしが最近ハマッているのが、これ。 ハバネロじゃないよ。 左の大きい赤いやつが「甘とう美人」、右の細いやつが「からくない唐辛子」。 これらは三芳村の道の駅で売っています。こんなかんじ。 ししとうと同じで、炒って塩振って食べるととってもおいしい。子供もぱくぱく食べられるフツウのお野菜です。よく熟れているだけあって、フルーティな甘みと旨みが出ていて最高です。 しかーし。 これがくせもの。 夕食時、こいつが山と盛られたお皿を目の前にして、お互いをつつきあいます。 「ニイニ、先に食べてよ」 「やだよオレは。ポチンから行けよ」 「やだ!ねーじゃーママが食べて!」 ちなみにこれは、こどもたちの大好物です。無理強いしているわけではありません。 「だいじょうぶよー。ふたりとも早く食べなさいよー」 「だって~~~」 「ニイニ、行け!男でしょ!」 「げ~~~。まじかよ~~~」 ニイニはじいいいっとお皿を見つめ、選りすぐりの1本を選びます。何を基準に選んでいるのかは不明。 「えーじゃあ、これいくよぉ」 …ぱく。 「…セーフ!これはおいしい」 ニイニの顔を食い入るように見ていたポチンははじけるように笑って、 「おおおニイニよかったねー。わたしも食べるー。でもどれがいいかわかんない!」 と、やっと箸をのばしますが、お皿の上でうろうろうろうろ迷い箸しまくり。 そう。 これぞ名付けて‘ロシアンルーレットウガラシ’。 上の写真のとおり「からくない」ってわざわざことわっているにもかかわらず、かなりの確率で激辛が混ざっているのが特徴。だいたい10本に1本、いや7本に1本は「アタリ」です。大多数の個体はとってもおいしいけど「アタリ」はわたしでも口の中がヤバくなるほどの辛さなので、生死を賭けた選択をせまられるわけ。 だいたい、1回の食事中に1回もアタらないことはない。(平気で10本以上食べるからね。) 誰かが食べる瞬間に、みんなじいっとそのヒトのことを凝視します。 「…どうよ?きた?」 口運悪くハバネロ級のやつを噛み砕いてしまうと、カライとか声が出る前に口が半開きになって涙がたまる、涎が垂れる、アワアワと水に手がのびる、ヒイヒイ泣く。 その無様な姿がたまらなく面白い! 「ニイニアタったのね~」 ほれ、水よりご飯の方が落ち着くよとか、ティッシュあるよとか言いながらげらげら大笑いして思いっきりバカにするんです。 「なっさけないなあー。死にゃしないわよ」 「ニイニきったなーい。ゲロ出してるー」 容赦ない言葉に怒る当選者。 「うっせーなあ!辛いんだよお…」 ああ、なんて楽しい食卓でしょう! ちなみにわたしがアタるとこどもたちは大喜び。バレないようにすましてやりすごそうと思うんだけど、気が緩むと麦茶をがぶ飲みしてしまってバレます。 「ママアタったでしょ!ケケケケケケ!」 「辛いの好きとかいって、涙出てるし」 いいの、ママは。 好きで食べてるんだからほっといて。 それにしても、こんな罰ゲームみたいな辛いやつが入っているのを「からくない」と表記するおおざっぱさに感動。「たまにとてもからい」とか書くと、だれも買わないからかな。(「甘とう美人」は但し書きはないけど、やっぱり時々辛い。) でもわたしは、この「からくない唐辛子」を愛してやみません。道の駅に寄るたびに何袋も買って、楽しく食しています。 (ああそうだ、クリスマスパーティの時に、プレゼント交換のゲームで使おうかな?) で、もうひとつ。 わたしが今まで生きてきて食べたものの中で、一番辛い食品をご紹介しましょう。 先日、パッケージのおどろおどろしさに惹かれて購入。 「デスレイン」死の雨、でっせ。 XXX HOT、ってどんなだ? カラムーチョ程度だったら許さないわよと思いながら構えもせずに無造作にバリバリ食べると。 ぎえぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーッ!!! どんぐらい辛いかは、ご想像にお任せします。 でもひとつご忠告。子供やお体の弱い方に与えないほうがいいです。焼死します。 あまりに壮絶なので、なんじゃこりゃと思って裏の原材料を見ると、「唐辛子」の横になんと「微粒シリカゲル」と書いてある。 微粒シリカゲル? たしか、シリカゲルって乾燥剤じゃない? 仰天して調べてみると、シリカゲルとは二酸化ケイ素の簡略名で、微粒シリカゲルは食品添加物として認められているらしい!知ってた?? これで辛さを出しているかは不明。でも、舌に激痛が走るほど辛いので(おっと想像してもらう前に言っちゃった)、ひょっとしたらこれも一因かと。 まあ、体にはよくなさそうだな。 激辛好きのわたしですが、これはあまりに辛い(からいじゃなくてつらい)ので、申し訳ないけど食べきれない分を廃棄しました~ それでもご興味のある方はお試しを~ 食後の体調の責任はとれませんが~
by babamiori
| 2008-12-19 13:09
| 食べ物のこと
|
ひょんなことから、南房総に8700坪の土地を手に入れてしまいました。平日は都心で建築ライター・コーディネーターとして働き、週末は南房総で野良仕事。ちょっとムリして始めてみた二重生活ですが、気付けば主客転倒で、どっちがメインの住まいかわからなくなっています。田舎暮らしの衝撃と感動、苦悩と快感をそのまま綴ります。
ニイニ中3、ポチン5年、マメ1年。
by babamiori
リンク
南房総リパブリック ホームページ
房総R不動産 村上建築工房 都会育ちの田舎暮らし 南房総ほんまる農園のブログ Farm minamikaze's blog ヒナタノオト工芸帖 東京の編集者が瀬戸内海のとある島に移住するの記録 仮住まいの輪 we are what we eat フォロー中のブログ
古今東西風俗散歩(移転し...妄想ファミリー、房総に住む! amane 土橋陽子の design... カテゴリ
全体田舎暮らしのこと 週末の出来事 南房総のこと 食べ物のこと 東京にて 生き物について ニイニ 建築について お知らせ 産後について 旅 本 未分類 タグ
南房総
三芳村
セカンドハウス
こども
畑
サンショウウオ
赤ちゃん
海
キジ
子猫
アカハライモリ
家
ふきのとう
ソラマメ
植物
妊婦
花
釣り
飼育
草刈り
タケノコ
ビニルハウス
アメリカ南西部旅行
カブトムシ
梅
ショウガ
海水浴
ほうれん草
ネコ
キャベツ
イノシシ
ホタル
キジの飼育
カエル
野菜
クリスマス
多摩川
ジャガイモ
ミョウガ
キジの雛
オイカワ
竹
キジの卵
中堰
餅つき
オウム
裏山
菜の花
オオゲジ
雑草
クモ
山菜
ハクビシン
破竹
小松菜
インゲン
タケノコご飯
梅ジュース
サイクリング
館山
農業
サトイモ
サボテン
春
水仙
寿司
サンショウウオの卵
ジンジャエールの作り方
スーパーカー
スズメダイ
スパイダーモア
セミの羽化
セリ
ソラマメスープ
ゾウガメ
タケノコのえぐみ
タヌキ
タマネギ
タラの芽
タロイモ
タロイモチップ
チェーンソー
チャドクガ
ツクシ
ツバメ
テナガエビ
デスレイン
トウキョウサンショウウオ
トウモロコシ
トビネズミ
ニンニクの芽
ネコに生魚
ノビル
ハーパース・バザー
ハグロトンボ
ハコフグ
ハットウォールデン
バーベキュー
ヒグラシ
ヒナ
ビシソワーズ
ビワ
ビンゴバーガー
ピクニック
フユイチゴ
フライドポテト
フラウ
ブラインシュリンプ
プレゼントクイズ
ベルーガ
ペリカン
ボディボード
マカロン由香
マリモ
メセン
モグラ
ラッキョウ漬け
レシピ
ロビビア
ワールドカップ
阿寒湖
旭山動物園
粟叉の滝
安房勝山
安房美人
伊予ヶ岳
塩ゆでピーナッツ
沖ノ島の釣り
仮住まいの輪
夏バテ防止
花火大会
花粉症
海の家
外食
柿
柿渋
鴨川シーワールド
岩見沢駅
虐待
巨人戦
巨人優勝パレード
魚が安い
金時芋
空豆
釧路湿原
屈斜路湖
栗
見物海岸
玄米
固定資産税
江ざわ
香谷堤防
高滝
黒アワビ
根本海岸
砂漠
坂田の残土問題
桜
札幌時計台
三平農園
産卵
刺身の捌き方
四つ葉のクローバー
子供向けワークショップ
子連れ海外旅行
子連れ旅行
自然薯
自然薯堀り
自然体験
自由研究
洲ノ崎海岸
秋
秋祭り
初詣
初日の出
初乳豆腐
勝浦タンタン麺
少数派
湘南
障子張り
食育
薪割り
辛口ジンジャエール
震災
水田
生わかめ
生活
雪
千倉
千葉県
川
川野みかん
洗足カフェ
惣四郎
卒園
胎動
代官山朝市
大きな木
滝
脱輪
以前の記事
2023年 09月2017年 01月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 10月 2015年 09月 2014年 11月 2014年 09月 2014年 04月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 05月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 06月 2012年 05月 2012年 04月 2012年 03月 2012年 02月 2012年 01月 2011年 12月 2011年 11月 2011年 10月 2011年 09月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 11月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 検索
最新のトラックバック
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ファン申請 |
||